In a Sentimental Mood
1989年に出たこのアルバムは、私が彼の音楽を知って比較的最初の頃に買ったアルバムだ。
帯の情報でジャズの部門でグラミー賞をとったことを知った。
そのことについて特別の驚きはなかった。
なぜなら私にとっての最初のドクター・ジョンはBrightest Smile in Town であり、この延長線上にあるアルバムとしては至極当然のような印象で、「ドクタージョンがジャズのスタンダードを演奏するとこうなる」と言うような質の高いアルバムだと感じた。
実際に今でもそう思う。
Wikipediaでこのアルバムの事を読んでいて、当時グラミーの審査員だったWilliam Ruhlmannが言った言葉に思わずはっとした。
「彼は『グリ・グリ』の頃から変わってしまったかもしれないが、ドクター・ジョンはメロウになっても味わいがある」
「なるほど、そっちか」と思った。
私にとってのグリグリと言うアルバムはドクターがまだ方向性を見いだせていない、混沌とした時代の作品というイメージだった。
それにひきかえ、ドクター・ジョンと同世代のファンにとっては逆の印象なのだ。
当然と言えば当然の話だ。
同世代のアーティストが、徐々に洗練されていき、落ち着いた雰囲気の作品を作り、それ自体は素晴らしいが何か寂しさを感じたのだろう。
そんな事が感じ取れる。
パラダイムシフトを感じたが、考えてみれば当たり前の話だろう。
下の動画はFirst All Starr Bandとの共演したときのもの。
動画の概要欄によると1989年9月のライブだそうだ。
In a sentimental moodが出た年である。
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